鹿沼土と赤玉土のブレンドは、用土の鉄板なのか?

超絶久しぶりの投稿です。

ホームページもブログも全く更新することなく、気がつけばブログも4年以上ぶり。巷では、管理人は亡くなったとの噂まで流れて、昔お取引して頂いた方から、生存確認の電話とか時折ある始末…。

元気にしてますけど、忙しさにかまけて余裕がないのです。

さて、植え替えシーズン真っ只中ですが、昔から疑問に思っていた用土と根の関係を少し深掘りしてみようかと思います。

ちなみに写真は10月12日の様子。ハウス内は半分くらい植え替え済みです。

1.ヤマシャクヤク栽培に使われる用土

ヤマシャクヤクは、過湿も乾燥も嫌う性質があり、自生地でも苔むす水分がありながらも水はけの良い斜面に生えています。栽培においても同じ事が当てはまり、鹿沼土や赤玉土などの小粒で栽培するのが一般的かと思います。

みなさんはどんな用土で栽培されてますかね?

概ね、山野草の用土、つまり赤玉土と鹿沼土の混合用土で植えるというのが王道だろうと思います。私も長年ずっとそうしてきました。

鹿沼土はアルミニウムの含有量が多く酸性用土であることから、日本の山野に生える植物にはうってつけの用土と言えます。アルミニウムの影響で腐敗しにくく、phがおおむね5〜6の間くらいで、山野草が好む酸度であるからです。

しかしながら、鹿沼土のみで植えると過度に乾燥しやすかったり保肥力がないため、それらの欠点を補うために赤玉土を混ぜて植えるというのが定番となるわけです。

もちろん、水やり加減や肥料のさじ加減が理想的になれば、どのような用土で植えてもバッチリ育ちますよね。つまり、用土云々ではなく、その用土に合った水やりと施肥がキモなんです。

しかし、ヤマシャクヤクを栽培していると、同じように管理してるはずなのに、生育不良となる株も一定数存在し、頭を悩ませることもあります。

では、なぜ生育不良が起こるのか?

あくまで私の仮説にすぎませんが、それを紐解いていきたいと思います。

2.生育不良はなぜ起こるのか?

用土の話から少しそれますが、生育不良の原因となる病気の話も一つします。

生育不良の時、ヤマシャクヤクにおいて一番見られるのは、Cylindrocarpon destructans シリンドロカルポン デストラクタンスという細菌感染による芍薬黒根斑病です。

小根が部分的に黒変・枯死する厄介な病気で、過湿になると発生しやすくなるようです。ひどくなれば主根も腐り、株を枯らすほどの恐ろしさがあります。

治療はベンレートが有効です。重症の場合は200倍くらいの液に20〜30分浸漬すると効果があります。小根の黒変程度の軽傷なら、500倍液の灌注で充分なので、植え替え時にジョウロでかけてやれば良いかと思います。

ベンレートは連続して使うと耐性菌を生じやすいため、もう一つ効果のある薬剤であるフロンサイドを織り交ぜて使うのも良い方法です。ただ、フロンサイドは皮膚炎を起こしやすいため、ハウスの中で使用するのは基本的にオススメしません。

病気の話はここまでにして、本題の用土の話に戻します。

長年気になっていた事ですが、それは用土によって小根の色が違う事です。

2枚の写真を見てください。

これは硬質赤玉土と硬質鹿沼土を混合した用土に植えていたもの。

こちらは硬質鹿沼土単用で植えていたものです。

写真が今ひとつで分かりにくいかもしれませんが、根の白さに違いがあります。この2株は、ちょっと調子を落として、生育不良気味だったものです。

もちろん、混合用土でも調子が良ければ白い根がしっかり張ってる場合もありますし、私の考え違いかもしれませんが…

この白根、実は赤玉土単用でも同じように白い綺麗な根が見られます。さらに、あかぎ園芸の粒状黒土って用土がありまして、超絶排水悪いにも関わらず、なぜか不思議と白根ですごく作上がりします。

つまり、排水が悪くても良く出来てしまうんです。

  • 鹿沼土単用→白い綺麗な根
  • 赤玉土単用→白い綺麗な根
  • 粒状黒土→白い綺麗な根
  • 赤玉土と鹿沼土混合→褐色の根

つまり、用土を混合した時だけ不思議なことに根が褐色になりやすいのです。

ただ、私は混合用土信者なので、基本的に混合用土栽培が中心です。この根の色の疑問も、まだ学術的統計が言えるほどの栽培試験をした訳ではありませんので、あくまでも推察の域を出ませんことお含みおきくださいね。

では、混合した時だけ根が褐色を帯びるのか?について、推察してみようかと思います。

3.赤玉土と鹿沼土を混合すると何が起こっているのか?(推察)

では、なぜ混ぜた時だけ根が褐色になりやすいのか?

赤玉土と鹿沼土を混合した際に何が起こるのかを研究した人や論文ってありますかね??あれば理解は学術的に理解できるかと思います。

しかし、ないように思うんですよね。そこで、ここからは私の推察です。

まずはそれぞれの特徴を書きます。

・硬質赤玉土(関東ローム層の上層・赤土)

ph5.5〜6.5の弱酸性

関東平野に降り積もった火山灰が風化してできた土で、酸化鉄を豊富に含むため赤褐色(赤茶色)をしており、ケイ素とアルミニウム、そして「鉄」が非常に多いのが最大の特徴。そのほかの微量元素は僅かにしか含みません。

・硬質鹿沼土(栃木県鹿沼地方の軽石層)

ph4.5〜5.5の酸性

赤玉土よりも深く黄白色〜黄土色の層から採掘される、軽石質(浮石質)の火山噴出物です。赤玉土に比べて鉄分が少なく、「アルミニウムの比率が非常に高く、鉄が控えめ」という特徴を持ちます。赤玉土と同じくその他の微量元素は僅かにしか含みません。

では、この二つの用土を混ぜた時、実際に何が起こるのか?

私の推察では、弱酸性の赤玉土のphがより酸性の強い鹿沼土の影響を受けて低下し、それによって赤玉土から鉄分が多量に溶出するのではないかと思うのです。

  • 小根の表面が褐色になること
  • 小根が長く伸長せず分岐をしやすいこと
  • 葉の一部が褐色枯死すること(カルシウム欠乏)

これらの症状は鉄過剰のサインと合致します。

また、鉄過剰になると、拮抗作用によりマンガン・亜鉛・銅の吸収阻害や、さらにリン酸・マグネシウム・カルシウムの吸収阻害も起こします。

私は栽培において鉄分を含む鉄力シリーズを追加で散布していた事も、鉄過剰に拍車をかけていたのだろうと思うのです。

しかし、赤玉土と鹿沼土の混合は、古くから山野草の世界では用いられてきた経験則に基づくやり方です。混合することにより、鹿沼土の酸性度と通気性の良さやアルミニウムイオンによる防腐性を期待でき、鹿沼土に足りない保肥力や保水力などを赤玉土で補う理にかなったやり方です。しかし、施肥の失敗や用土混合から来る鉄過剰が、カルシウムを多く含む原生林に自生するヤマシャクヤクには合わなかったのではないでしょうか。

もちろん、ヤマシャクヤクには合わなかっただけで、そのほかの山野草や草花には、溶け出した鉄分が栽培上むしろ有利に働いているのかもしれません。

そこで、古くから王道の用土てある鹿沼土と赤玉土の混合用土は、なぜヤマシャクヤクには合わないのか、もう一度ヤマシャクヤクが自生する土の成分からも再考してみたいと思います。

4.ヤマシャクヤクの自生地はなぜカルシウムが多いのか?また鉄過剰がなぜヤマシャクヤクには不適なのか?

ヤマシャクヤクが多数自生している地域は、九州中央山地・四国山地・紀州山地などの中央構造線の南側になります。私はこの中でも多様な斑入りを産する徳島県の祖谷地方のみしか行った事がありません。栽培している物も徳島県産が多いため、この辺りの土壌について深考してみます。

三好市の中津山から祖谷のかずら橋、大歩危・小歩危にかけてのエリアは、高圧変成作用を受けた「三波川変成帯」という地質帯の核心部に位置しています。

この地域は、写真のような緑色と紫色をした大小様々な大きさの石からなるザレ場に、長年の落ち葉が積もって分解した腐食が積もっています。

この緑色の石は緑色片岩、紫色の石は紅れん片岩と呼ばれるもので、祖谷の自生地はこれらの砂利で覆われており、多雨で苔むす環境ながら、排水性を保っています。

緑色片岩の成分は、ケイ素とアルミニウムを中心として、鉄・マグネシウム・カルシウムを多く含む岩石です。また、紅れん片岩は、ケイ素とアルミニウムを中心とし、カルシウム・マンガン・鉄・カリウムの順で多く含まれています。石が紫色をしているのは、マンガンによるものです。

ヤマシャクヤクが好むカルシウムは、この二つの岩石から溶け出しているわけです。

赤玉土と鹿沼土には、カルシウム分はほとんど含まれていません。なのでヤマシャクヤクを良く育てるのためには、このカルシウム分をしっかり補給する必要があるということになります。

ここでもう一つ、自生地の砂利に含まれている元素であるマンガンに注目したいのです。

紅れん片岩に含まれるマンガンは、他の岩石に含まれる量の数十倍〜数百倍と言われています。それだけの含有量となれば、自生地の土にも普通より多く溶出している事は充分考えられることです。

祖谷地方の三波川変成帯に自生するヤマシャクヤクには、マンガンは必須な元素であると推察できるのではないでしょうか。

用土の混合により赤玉土から溶け出した鉄分が過剰となり、その結果マンガンの吸収阻害を起こすため、マンガンを好むヤマシャクヤクは根の発育に問題が生ずるというわけです。もちろん、緑色片岩には鉄分も多く含まれていることから、鉄分も重要な微量元素である事は間違いないと思いますが、過量になると害になるのではないでしょうか。

5.ヤマシャクヤク栽培において、山野草用土に合わせた管理のまとめ

学術的に立証されてない事なので、私の推察にすぎませんが、赤玉土と鹿沼土の混合用土とそれぞれの単用の時の根の様子など、この推論ですと実に辻褄が合います。

ヤマシャクヤクは、酸性ながらもカルシウムを多く含む用土を好み、微量元素としてマンガンが必要なのだろうというのが結論です。

では、実際にはどのように微量元素を考えればよいのか、用土ごとにまとめてみます。

①.鹿沼土単用

カルシウム・鉄・マグネシウム・マンガンは、用土に含まれませんので、それぞれを適宜与える必要があります。過乾燥に注意が必要なため、水やりは多めに。

②.赤玉土単用

鉄分は元々含まれるため、カルシウム・マグネシウム・マンガンをそれぞれ適宜与える必要があります。ただ、phが高いと鉄分の溶出は少ないため、鉄を少量のみ与えても良いかもしれません。過湿になりやすいので、水やりは少なめが無難。過湿は鉄分の溶出を促進します。

③.赤玉土と鹿沼土の混用

鉄分が過剰になる可能性があるため、カルシウム・マグネシウム・マンガンをそれぞれ適宜与える必要があります。鉄分は逆に与えない方が無難。また、過湿は鉄分の溶出を促進するため、乾燥気味に管理する必要があります。

カルシウムの補給は、牡蠣殻や貝化石などを用土に混ぜるか上置き、またはカルシウム液肥の散布・灌注で良いかと思います。

マンガンの補給は、AGミネラル粉末液肥を通常の2倍以上の希釈で与えるか、農協で販売されてる微量元素FTEを用土に混用して植え込むのがオススメです。

いかがでしょうか?

もちろん、なんの問題もなく育ってる方にとっては、今回の内容はスルーで良いかと思いますが、同じような疑問をお持ちの方は参考にされてみてください。

ただ、この内容は推察にすぎません。今年から私も試してみようと思っている事なので、うまくいかない可能性もあります。試してみようと思われる方も、真偽不明である事を念頭にお願いいたします。

この推論がヤマシャクヤクファンのお役に立てれば、幸いです。

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