「馬木の華」と「馬木錦」

すこぶる過ごしやすい良い季節となりました。
寒くもなく暑くもなく、15~25℃の気温帯は、ヤマシャクヤクにとっても最高の季節であり、この時期の光合成速度は最高速度になっていると想像しています。
今こそ1年でヤマシャクヤクが最も根を生長させている重要な時期でしょうし、この時期の管理は特別何かをするわけでないですが、水や肥料や日光などの条件が理想的になっていることが肝要です。

さて、今回は栽培の話ではなく、「馬木の華」と「馬木錦」について詳しく紹介しようと思います。

馬木の華と馬木錦は、並花の多数の実生の中からたまたま出てきた斑入り個体で、実生の兄弟株で別個体になります。
初め頃は名前もなかったようですが、片方の個体がカラコ咲きで花弁に桃色が口紅状に乗る個体だったため、馬木の華と名前が付いていました。
しばらくの間は馬木の華1号・馬木の華2号と呼ばれていたようで、カラコ咲きになるのが1号、カラコ咲きではないものが2号となっていたようです。
その後、1号2号では分かりにくし格好も良くないので、最終的にカラコ咲きとなる個体を「馬木の華」、カラコ咲きではない方の個体を「馬木錦」と名付けたわけです。

では、それぞれの特徴を見てみましょう。

・馬木の華

「馬木の華」の花の写真です。
本来スクリーン撮影したいのですが、鉢が大きくて重い上に棚のど真ん中に鎮座しているため、取り出せません。
三枚目の写真は友人宅の写真をお借りしています。
ちょっと満点の写真がなくて、申し訳ないです。花は雄しべが弁化するカラコ咲きとなり、そこが口紅状に桃色になります。

こちらが柄の様子です。
黄色味の強い散り斑で、この色の柄は意外と見かけません。馬木錦に比べると、馬木の華の方が若干地味なイメージですね。
私の経験では、実生しても柄が遺伝していません。かなり昔のことであまり記憶してないのですが、もしかすると数年作り込むと柄が出てくるのかもししれません。


・馬木錦

これが馬木錦の柄の様子です。この個体は今年超派手になっていますが、写真上に写っているくらいが標準的な柄だと思います。ちなみにページトップの画像も馬木錦です。写真は私の友人の棚で撮影されたものです。
色もちょっと馬木錦の方が黄色味が強く派手で綺麗なように見えますね。

今年始めて気がついたのですが、雌しべの蕊柱の先が白いんですよね。素心でないのに蕊柱の先が白い個体を初めて見ました。本当に不思議な花です。しかも少し雄しべの弁化もあり、八重の因子が垣間見えます。
ちなみに上の写真で雄しべの葯がないのは、交配する際に自家受粉を避ける意味で取り除いているためです。


馬木の華と馬木錦については、名前が変遷したり、兄弟という事もあって双方共によく似ているため、いろいろ話題にもなっていたようですが、参考になりましたでしょうか?いずれも興味深い個体ですよね。
「夢織錦」と呼ばれる個体は、おそらく馬木の華と異名同種だろうと思います。また栽培状況にもよるとは思いますが、馬木の華も馬木錦も芽出しは大変遅く、うちの棚ではいつも最後に出てくる傾向があります。

まとめますと、
・馬木の華はかつて馬木の華一号と呼ばれていた個体で、桃色のカラコ咲き芸を呈する二芸品。
・馬木錦はかつて馬木の華二号と呼ばれていた個体で、柄は馬木の華より派手な傾向がある。蕊柱は白くなる。
といった特徴があります。
どちらの個体も素晴らしいヤマシャクヤクの一つだと思います。ヤフオクにも古い銘などで出ているのを見かけますので、ぜひ棚に並べて楽しんでみられてはいかがでしょうか?

私も満作してスクリーン撮影することを一つの目標にしておこうと思います。

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