遮光について再考する 1

過ごしやすい天候が続いています。

この人間が過ごしやすい気候の時期は、ヤマシャクヤクたちも過ごしやすいわけで、この時期の光合成速度は一年で最も早くなります。
つまり、この時期の生育は一年で最も重要な時期なのです。暑い夏場をどう乗り切るかももちろん大事ですが、いかに大きく養分をためるかという観点では今が最重要の時期で、実は来年の芽もすでに形成ができつつあります。

では、この時期の栽培にも大きく影響が出そうな日光について考察してみたいと思います。
まあ、あくまで素人が素人なりに考えてることであって、理論や証拠を求める方は、ご自身で論文を読んだり専門家にお聞き下さいね。

ちなみに、トップの写真は開花時期の自生地の写真です。
結構明るいですよね。

5月の半ばも過ぎると広島の平地ではすっかり落葉樹の葉も生い茂り、日の当たるところと木陰ではずいぶんと体感温度が異なってきます。
こうなってくるとやはりそれなりの遮光が必要になってくると思います。

では、ヤマシャクヤク栽培において、遮光はどうするのが理想なんでしょうかね?
少し考えてみましょうか。

1.ヤマシャクヤクの自生地はどのような環境なのか?

私は遮光について明確な答えを持っていません。なので、相も変わらず毎年試行錯誤するばかりなんですけどね・・・。
答えが判っているなら、苦労はしません。
では、まず考えなきゃいけないのは、自生地はどのような環境なのかということですよね。

ヤマシャクヤクは基本陰生植物です。
自生地ではヤマシャクヤクは直射日光の当たる所にも生えてはいるものの、おおかた四国の山中では木陰に自生しているのが基本です。
では、春先の光の当たり具合はと言いますと・・・

春先の芽出しに時期は、まだ木々はあまり芽吹いておらず、ほぼ直射日光が当たっている状態です。
遮光率で考えるとせいぜい30%くらいでしょうかね?
ちなみに、写真は4月の下旬です。
この時期、ヤマシャクヤクの生育具合はといいますと・・・

花が咲いてる状態です。

ですので、芽出しから葉がほぼ展開する時期まではほぼ直射日光か遮光30%位でも問題ないと言えそうです。
大型連休が明けて5月の半ば頃からは木々の葉の茂り、林床はかなり暗くなると思います。緑が深くなる時期は自生地に行ったことがないので、実際どの程度かは判らないのですけど、5月後半に行ったことのある方の話をお聞きすると、かなり暗いそうです。
ちなみに、広島の平野部と自生地とでは、春の進み方は3週間くらいの差がありますので、その辺は勘案しなきゃいけないと思います。桜の葉の茂り方などを参考にすると良いかもしれませんね。
具体的に現地で照度計を使って計測すれば良いのでしょうけど、ちょっと計測器が邪魔になりますし、まあその辺は簡単に雰囲気で把握することにしましょうか。

おおまかな自生地の雰囲気はおわかりいただけたでしょう。しかし、ヤマシャクヤクは、同じ自生地でも全ての場所に雑草のごとく生えてるわけではありません。生えてる場所はそれなりの条件が満たされてるところのみで、その生育密度もかなり違いがあります。
では、どのような場所を好んで生えているのかを少し見てみましょうか。

この写真は数年前に四国の山中を4月下旬に歩いた時に撮影したものです。
現地の環境は落葉樹の原生林で、下には落ち葉が積もり、岩は苔生しています。この写真を良く見ると・・・
ヤマシャクヤクは、木漏れ日が少なくかなり陰になった部分に、高密度で自生していると思いませんか?
まあ、たまたまかもしれませんが・・・。

こんな所にも生えています。

土のない苔と落ち葉しかないような所にも生えていますが、個体数が多く見られるのはやはり日陰です。
写真の上の方に日当たりの良い所にもちょっとだけ生えてますけど、生えてる密度は薄いですよね。

ただ、高密度に生えてる条件は、日光ではなく水の存在だとも言えます。岩の上は日向だと乾いて生育が無理と言うことも当然考えられることです。

もちろん、ガッツリ直射日光下にも生えていないわけじゃありません。
四国の山中でも直射日光がガンガン当たる場所にも自生しています。
九州の自生地や愛媛の自生地などは、影のない石灰岩地帯にビッシリと生えているみたいですしね。

しかし、同じ場所でも日当たりの状態に応じて生育密度に差があることは事実です。強光下でも育つけど、四国の山中を歩いて見る限りでは、やはりさほどの強い光は好まない陰生植物ということが基本ではないかと思うわけです。

では、陰生植物のヤマシャクヤクにとって理想的な光はどの程度と言えるのでしょうか?

続きは次のブログで検証していこうと思います。

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