赤い彗星のシャア

巣ごもりの大型連休です・・・。
気持ちの悪い画像から始めてすみません。
赤い彗星は赤星病のことです。

今年はヤマシャクヤクの赤星病の発生が非常に多いようです。
うちの棚でも結構出ていますし、知り合いの四国の棚でも出ているとの話でした。
この赤星病、皆さんの嫌われ者ですが、意外とその性質を理解していない人も多くおられるようです。
ですので、今回はこの病気について書こうと思います。
ただし、あくまで趣味家の私が自分で調べた範囲での内容です。営農指導員のような知見ではありませんので、参考程度としてお読みください。確信をお持ちになりたい方はご自身で深めていただけたらと思います。

①赤星病とはどんなものか?

赤星病は、バラ科の植物に寄生するGymnosporangium 属の担子菌が寄生することによる病害です。
この菌は、異なる2種類の植物を宿主としながら、複雑な繁殖形態をします。
どういうことかと言いますと、4月から梅雨前まではナシやボケなどのバラ科の葉に寄生し、見た目赤い星のような斑点を形成し、梅雨前には葉裏に胞子嚢を作って胞子をまき散らします。その見た目から赤星病と呼ばれるわけです。
葉裏から出た胞子は、今度はカイヅカブキなどのビャクシン類に寄生し、夏を越して翌年の春先までそこで繁殖します。
また春になると、ビャクシンから胞子を飛ばしてその胞子が再びバラ科の植物に寄生して、赤星病となって出てくるわけです。
つまり、二つの植物を行ったり来たりするサビ病の一種です。

でも、ヤマシャクヤクはバラ科じゃないんですけど・・・
この赤星病はバラ科が基本であって、なんでボタン属のヤマシャクヤクに出るんでしょうね?
よく分かりません。
こういうのは大学の先生にでも聞かないと分からないかもですね。
概ね植物の病気は宿主によって菌の種類が異なることが多いため、おそらくヤマシャクヤクの赤星病の菌とナシ亜科に寄生する菌とは別種なんでしょうね。
では、そんな変わった赤い彗星は、危険な病気なんでしょうか?

②赤星病は危険な病気なのか?

では、赤星病は株を枯らしてしまうほどの危険な病気なのでしょうか?
これに関して私の感想ですが、はっきり言ってヤマシャクヤクが枯れるような病気ではありません。
全ての葉に何個も何個も無数の病斑が発生するようなレベルになると、株を弱らせる可能性はあるかもしれませんが、それが原因で枯れたことはないですね。
ただし、赤星病の病斑の部分は、胞子を飛ばし終わると葉が壊死して、その部分から枯れ込んでくることがあります。なので、枯れないからと言って完全に放置するのはあまり賢いやり方ではないかもしれません。
また、そのまま放置しておくと葉裏から胞子を飛ばし、それが近隣のビャクシン類に寄生し、来年の病気の発生源となってしまいます。

また、赤星病の発生原因となる胞子は、あくまでビャクシンから飛んでくる物です。
赤星病の病斑から他の葉や株にはうつりません。
これも時々うつると思い込んでいる人もおられますが、うつりませんので気にしすぎないでください。かりに買ってきた株に病斑があっても、それが自身の棚に広がることはないのです。
もし、買った株に病斑があって、その後棚に赤星病が出たとしても、それは自身の棚にどこかのビャクシンから胞子が飛んできただけで、赤星病の株を買おうが買うまいが出たものなのです。
なので、買った株に赤星病があれば、後述するやり方で対処すれば大丈夫です。

簡単にまとめると、赤星病は見た目が悪いだけで恐れるほどの病気ではないと言うことです。ただし、そのまま放置しておくと、葉が枯れ込んだり来年の発生源を作ってしまう原因になりかねないので、それなりの対策はした方が良いと言うことですね。
では、どのように対策すれば良いのでしょうか?

③赤星病はどうすればよいのか?

はっきり申しまして、分かりません・・・笑
私が教えていただきたいくらいです。
ヤマシャクヤクの赤星病の菌が、ビャクシン類を中間宿主とするなら、近隣にビャクシンを植えないことがまず予防法として有効です。
実際、関東地方などナシの産地ではビャクシン類の植栽が条例で禁止されてる地域もあります。
実はうちの庭にもビャクシンが植栽されてます。
では庭のビャクシンを切ってしまえば、赤星病から解放されるのでしょうか?
私の考えではノーですね。
なぜかといいますと、赤星病の胞子は風で2キロも飛散するからです。棚から2キロ以内のビャクシンを、よそのお宅のお庭も含めて全て切らなければ、完全とは言い切れません。現実問題、カイヅカブキなどはお庭にしょっちゅう見られる木ですし、全て駆逐するのは無理な話です。

では、有効な薬剤を散布することで、防げるのでしょうか?
ちなみに、治療薬としては次のような物があります。
アンビル、インダー、オーシャイン、オンリーワン、サルバトーレ、サンリット、ジマンダイセン、スコア、ストロビー、チオノック、トリフミン、トレノックス、ペンコゼブ、マネージ、ラリー、ルビゲン
オーソサイドなども効果あると見かけた気がします。
上記の薬剤を私は使ってその効果を確かめたことは、ありません。
ちなみに、オーソサイド、ダコニール、バシタック、ゲッター水和剤、ベンレート、トップジンなどは使用してみたことがありますが、治療効果も予防効果も感じませんでした。むしろ、薬害が出るばかりです。
もちろん、私のやり方が良くないのかもしれませんが・・・
この時期のヤマシャクヤクの表面には、ワックス層のブルームが着いていて、薬剤をきっちり効かせるためには展着剤入りの噴霧が必要です。
ブルームは植物が自身を守るために着けているバリヤーみたいな物です。春先の早い時期から展着剤を使ってブルームを壊してしまうと、今度は逆に病気に対する抵抗力を失うため、その後はずっと定期的な薬剤散布に頼る必要性に迫られてきます。
私は自分の庭に農薬をバンバンまくのは、もう嫌ですね・・・。
ここ数年は、ほとんど薬剤散布をしてないです。それで多少の病気が出ても、自身や家族に目に見えない害を及ぼすより、マシだと思うからです。

では、ビャクシンも駆逐できない、薬剤散布も効果を感じない・・・。
もうお手上げですね。
一体どうすれば良いのやら・・・

そこで私が実践しているのは、病斑を取り除くことのみです。

これをサボると、胞子が近隣のビャクシンに飛んで、来年の感染源となりますし、また病斑の部分は枯れ込みの原因になるからです。
そこで私が使っているのはこれです。

パンチ

これ、手芸用のパンチです。
中国製のボロですが、まあなんとか使えなくはないです。通販で800円くらいだったかな?すみません、忘れちゃいました。
これで、病斑の部分をパチパチ取り除くわけです。

こんな感じですね~
今のところ、これが一番楽ちんですかね。
ただし、葉の中央のある茎に近いところの葉脈をパンチすると・・・

葉がふにゃんとなってしまいます・・・
なんだか元気なくしおれたみたいに垂れちゃってます。
なんか悲しいですね。
赤星病は茎にも出ることがありますので、そうしたところもパンチは使いにくいですよね。
そこで、私の大先輩にあたる地元の草友さんに教えてもらった方法は、病斑の部分に木工用ボンドを裏表塗る方法です。
これはかなり有効で、病斑の拡大を防ぐ効果が見られます。
ただし、大きくなってからでは効果がないかもしれません。

そこで、木工ボンドでピンときまして・・・
トップジンMペーストがあるじゃん!と。
あれは、ボンドに薬剤が混ぜてある物なので、薬効も期待できる!と思ったわけです。
実際にやってみると・・・

焼けちゃいます・・・
まあ、病気も駆逐されてるとは思いますけど・・・
木工用ボンドが一番良いかもしれませんね。
ただし、ボンドを塗る作業は結構面倒です。数が少なければ、問題ないのですが、鉢数が多い上に多数発生してしまったときには、ちょっと大変なことです。
なので、私はもっぱら作業の早いパンチな訳です。

また病斑は、必ずしも赤くなるとは限りません。

こういう黄色っぽいだけの場合もあります。
葉裏を見ると一目瞭然。

なるべく見逃さないようにしながら、地道に取り除いてください。

④まとめ

なんか記事がとんでもなく長くなってしまいました・・・。
結論的には、
・赤星病は枯れるような恐ろしい病気ではない
・赤星病の病斑から他の葉や株にはうつらない
・葉の枯れ込みや来年の発生源を予防するため、病斑はなるべく取り除く
・薬剤は効果を実感できず、薬害による葉焼けや次の病気の原因ともなる

と、私の私見はこんな感じでしょうか。
赤星病は年のよって流行に差があります。昨年はほとんど見られませんでしたが、今年はなんか多い気がしますね。

むやみやたらと怖がらず、正しく恐れて対策すれば良いと思います。
そんなことは知ってるよ~って方もたくさんおられると思いますが、参考になりましたでしょうか?
次回は気持ちの悪い画像でなくて、興味深い記事にしようと思います。

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