すっかり春の陽気の広島です。
朝方は6℃くらいまで下がる日もありますが、概ね天候良好でヤマシャクヤクたちもすっかり大きくなってきました。もう置き場所がパンク状態で、ゆったりどころかぎっしり葉が詰まってるようになってしまい、棚の一部は緑の絨毯のようになってしまっています。
こうなってしまうと、草姿が不細工になってしまうので、写真を撮ることもままならなくなってしまいます。
なんとかせねば・・・。
トップの画像は赤とんぼ実生選抜個体です。もうこのサイズの実生選抜苗はこれが最後だったと思います。
やはり赤とんぼは軸が青く、その辺は親譲りですね。
ただ、実生は仮にセルフで行っても遺伝の揺らぎみたいな物はあって変化もあるでしょうし、虫などが別の花の花粉を運ぶこともあるでしょうから、一概には言えないと思います。施肥や日光の強さなどによっても変化はあるでしょう。
しかし、原株は簡単にはそうした遺伝要素の性質は変化しないと思いますので、鑑別に利用できます。
そうそう、一つ二つ訂正があります。
まず、以前から私は斑入りオリジナルな元となる個体のことを「原個体」と一人で勝手に呼んできました。
しかし、とある偉い先生から「原個体」ではなく「原株」がよいのではないかとご指摘を頂き、以降そのように呼ぶこととしようかと思います。
原木をお使いの方も多いと思います。草本類のヤマシャクヤクに木の字はなんとなく合わないようにも思いますが、古くから樹木の斑入りを扱ってこられた方にはその方が慣れてるでしょうね。山木は山から取ってきたことを意味するのでしょうから、実生選抜個体には使えません。
あくまで、英語のOriginal Plantに対する日本語と思うので、ホームページの中も時間があるときに表記を原株に代えていこうと思っています。
もう一つは、前回の記事で黄散り斑紅覆輪咲き個体を紹介しました。
こちらで2010年に実生と紹介しましたが、それは間違いでした。入手時に記録したノートを改めて確認すると、割り子と書いてありました・・・。どうやら2010年に私が実生をしてみたということのようです。でも、苗が残ってないということは、駄目だったのかもしれません。
話があちこちになってすみません。
では、いくつか個別の品種を紹介しましょう。
・黄花青軸準素心 乙女
この個体は東祖谷産の準素心個体です。香川県のKさんの採集品の一つで、結構古い個体だと思います。
綺麗な黄花で、雌しべの蕊柱が綺麗な朱色で、素晴らしく美しい花ですね。
青軸系の個体では、雌しべの頭が白い個体でも雄しべの付け根には紅が入る個体ばかりで、一切の紅の入らない完全な素心を見たことがありません。しかし、乙女は雄しべの付け根に色がありません。雌しべには色がありますけどね。
もしかすると、雌しべの白い個体に、この乙女を掛け合わせると、完全に紅のない花が見られるかも?なんて思ったりもします。しかし、場所がないので交配はやめときましょうかね。
・白ゴマ斑 中津山系 無銘
このゴマ斑は香川のKさん採取の個体で、斑のキレがすさまじく大変綺麗です。
写真ではなかなかわかりにくいかもしれません・・・。
比較画像です。
右がそのゴマ斑、左下がきら星タイプと言われている個体、真ん中地味な個体は無名の西祖谷産白三光斑、左上端は白三光斑の宴、上端左寄りにちょこっと写っているのが祖谷の満月の実生個体です。
祖谷の満月も斑のキレは良い個体ですが、これをも凌駕するほどの輝きを放っています。
軸も赤味が少なくスッキリしていますね。
ちなみに、祖谷の満月も軸はかなり青く、ほとんど赤味が入りません。左上の実生個体の軸が赤いのは、実生でセルフになっていないからです。
今年は実生しませんでしたが、来年はできたら実生したい個体の一つですね。
・極黄ゴマ斑 晴天 原株
このゴマ斑もとても綺麗なゴマ斑です。軸がほぼ青軸で斑の色が極黄でたいへん爽やかな印象を受けます。葉も丸いですね。これはKさんがかなり昔に採取された個体の一つで、この時期の美しさは素晴らしいものがあります。
しかし、この個体は後暗みがすさまじく、夏前にはすっかり暗んでしまいます・・・。今が一番綺麗なんです。
とはいえ、軸の青さや葉が丸いことはアドバンテージなので花粉親に使いたいところなのですが、花粉が出ない・・・
花の写真を見ても、おしべが真っ白でしょ。まあ、花的にはこれもスッキリ感にピッタリで、この個体には合ってるのかもしれません。
割り子が一つあったと思うので、ヤフオクにでも出してみようかしらん?でも、みんな興味ないかな・・・?
・青天狗 青軸素心 原株
天狗塚産の青軸個体です。めしべの蕊柱は白くほぼ素心ですが、おしべの付け根にはわずかにピンクが乗っています。
この青天狗の良いところはそのスタイルにあると思っています。写真を見てもらうとお分かりだと思いますが、葉の軸が短くて間延びがなく、また葉幅が広くて大きいのです。
なので、私は実生の花粉親として入手しましたが、ところが・・・
なんと斑が入っていたんです。地味ですけどね・・・。あまりにも地味で、ずっと気がついていませんでした。
さらにこれを実生すると・・・
まあ、ギンギンの柄ではないので分かりにくいかもしれませんが、子ども斑は親以上にゴマ斑っぽい柄が入っています。子どもに柄が出たことで、親が素心の斑入りであると分かったのです。
ちょっと面白いでしょ?
青軸の斑入りは実生で作り出すことも可能でしょうけど、天然の個体にも存在していたことが奇跡に感じます。なので、実生苗から素晴らしい柄が出てきたら、銘は奇跡にしましょうかね。
ちょっと今後が楽しみな個体の一つです。
・萌黄大覆輪 銀宝(ぎんほう) 原株
銀宝はかなり昔にKさんが採取された個体の一つです。うちの棚で切り戻しなどすることなく芸が継続している数少ない個体の一つです。ほぼ毎年花は蕾の段階で取っているのですが、今年は写真のために花を咲かせてみました。
花も面白いでしょ~。独特です。
この大覆輪の系統はこの銀宝も含めて実生で柄が出ていません。たくさんやれば出るのか、実生苗も大きくなったら芸が出るのか、よく分かりません。しかし、置き場所に限りがある私の所では3年生くらいまで見るのがやっとです。
・白ゴマ斑 夢 実生選抜個体
夢という個体からの実生選抜個体です。
夢自体はとても地味なゴマ斑で、正直どうしようもないほどですが、これを実生すると一部に素晴らしい派手な子どもが出てきます。まさにトンビがタカを生むような現象ですね。
柄もよく、後暗みがありません。
この夢の実生苗たちの特筆すべきは、その葉の大きさにあります。
これは別の実生苗の写真です。左が夢の実生苗、右は別なゴマ斑の原株です。
とにかくでかいのです。まあ、棚では少々邪魔ではあるもののその迫力はすさまじく、展示会などだったら目を引くでしょうね。
まだネタはありますが、切りがなくて長くなってしまうので、今回はもうやめときましょ。
また時間があるときにこのように徒然と書いていこうと思います。
うちの棚はもう最近はあまり意欲的に新しいものを入れていません。置き場所がもういっぱいで、むしろ処分していかなきゃいけないほどです。
そういう意味では新入りが少なくて、ブログ記事にはそのうちネタ切れになるかもです。
まあ、その位のぼちぼちで十分ですけどね。
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