久しぶりのブログ更新となりました。
ちょっと更新が開きすぎで、いつも覗いてくださっている方には申し訳ないです・・・。
さて、トップの画像は彼岸花の桃花です。
ヤマシャクヤクじゃないって?
そうです。
私の意図としては、彼岸花が咲いたら植え替えの適期かなぁと勝手に思っているので、載せてみた次第です。
今日現在でこんな感じですね。
実は、実生苗を除いてほぼ植え替えは頑張って終わらせています。
植え替えの時期については様々な意見があって、どの時期がベストなのかは私にもよく分かりません。
「盆が明けたら始める」って方もおられますし、
「10月の後半」って方もおられます。
ざっくりした感想で言えば、東海地方より以東では早め、四国地方は遅めのイメージがありますね。
植え替えをすると当然根にダメージを与えますので、極端に暑い時期と真冬は避けるべきです。
それを除けば年中植え替えられるのではないか?というのが私の意見です。
実際、私は購入した株はその時点で植え替えることが多いです。
その理由はネコブセンチュウをなるべく持ち込まないようにするためでもあります。確認もせずに同じ棚に並べていて、他の鉢に移したくないですもんね。
しかし適期となりますと、根の活性が最も高い春と秋の季節だと思います。傷んだ部分がスムーズに素早く治癒する必要があるからです。そうなると適温は15~25度の温度でしょうから、最高気温が30度を超えず最低温度も10度を下回らない時期と言うことになります。回復には2週間かかるでしょうから、それを見越した時期にスタートしなくてはなりません。
花が咲いて葉がしっかり固まる5月後半から6月前半も良い季節だと思いますが、ただこの時期は株分けは難しいように思います。
その辺を諸々勘案すると、私はおおかた彼岸花の花が咲く時期が適期かな?と思っているわけです。
では、ヤマシャクヤクは毎年植え替えないといけないのでしょうか?
私は必ずしもその必要はないように考えています。
まあ全ての植物に言えることですが、むしろ植え替えを嫌うのではないかな?と。
植え替えの意義は、あくまで鉢の中が手狭になったときと株分けをしたいときにやむなく必要という考えで間違いないと思います。
そりゃあ人間に例えれば引っ越しするようなもんでしょうから、嬉しくもないですよね。必要に迫られてするだけです。
植え替えの大きなポイントは、
・根を傷めないようにすること、そして傷んだ根がなるべく早く回復すること
だと思います。
では具体的にどのようにするのか、株分けなども含めて含めて詳しく解説していこうと思います。
今回の記事は、ベテランの方向けではありません。ビギナーの方向けとお考えくださいね。
①植え替えの基本準備
まずは基本的な植え替えの準備についてです。
用意するものは当然ですが、鉢と用土ですね。
鉢はなんでもいいです。
っていうとなんか投げやりに聞こえますが、大事なのは鉢に合わせて用土と水やりをコントロールすることだからです。
栽培の可否は鉢の種類で決まるのはなく、水やり加減で決まると言っても過言ではないでしょう。
基本的に、
・プラ鉢などの通気性のない鉢を使う場合は、用土は中粒などの荒目を使う
・雪割草鉢などの乾きやすい鉢の場合は、用土は小粒を使う
だと思います。
上記の通りするなら、水やりはどちらも頻回にやった方が良さそうですね。
ヤマシャクヤクは、山でも乾いた土地には自生していません。
乾きにくい斜面に生えています。
ってことは、水はけの良い用土で乾かさないように管理することがポイントのように思いますね。
雪割草鉢に中粒などを使った場合は、更に頻回の水やりが必要でしょうし、逆にプラ鉢に小粒を使った場合は、水やりは少なめということになります。
また、みじんを抜くか否かも乾きに影響します。
みじんを抜かない場合は乾きにくくなりますので、水やりを減らす傾向になるでしょうね。
ちなみに、私は以前はみじんを抜かずに植え込んでましたが、ここ数年はみじんを抜いています。やり方はふるいでも良いと思いますが、私の場合は大きなざるに用土を入れて、水で流して抜いています。
次に用土の作り方についてです。
鹿沼土1に赤玉土1を混ぜるのが、基本でしょう。
私の場合は、硬質鹿沼土2 硬質赤玉土1 日向土0.5 のそれぞれ小粒を混ぜています。
ここ数年は赤玉土の代わりに半量ほど黒玉土というのを使っています。気になる方はネットで検索してみてください。
炭は入れても5%以内で、たくさん混ぜてはいけません。炭はアルカリ資材です。たくさん混ぜた上、多量の窒素分を与えると、アンモニアガスや亜硝酸ガスを発生させてしまう原因にもなります。ですので、鉢底炭などは使わないことをお薦めします。
心配な方は炭をあらかじめ木酢などの酸で中和させてから使うと良いかもしれませんね。ただ、そこまでして入れる意味があるのかどうか、私にもその答えは分かりません。
以上、要は鉢も用土もこれといった答えはないものの、排水の良い用土で植えれば、あとは鉢や用土の特徴に合わせて水やりをコントロールすることだといえます。
置き場に屋根がない方の場合は、長雨が続くときに加湿になりやすく水加減のコントロールが難しいですから、プラ鉢で細かい用土に植えることは避けるべきかもしれません。
準備は他にも道具などもありますが、そこは割愛させていただきますね。
②植え替えの実際
さて、用土も混ぜて用意したら、実際に植え替え開始です。
植え替えについては以前ブログ記事にもしましたが、今回は単純な植え替えだけでなく株分けの実際もあわせて解説しましょう。
ではこれを植え替えと株分けしていきましょうか。
まずは鉢を斜めにしてトントンたたいてそっと抜き出します。
鉢から抜き出しました。
根を傷めないようにそっと作業します。パンパンたたいたり棒でほぐしたりはしません。
良く根が張っていますね。
まずこの時点でネコブセンチュウがないかどうか確認します。
用土は軸を持ってブルブルっと振動させて落とします。ここから植え付け完了まで気をつけないといけないのは、小根を乾燥させないことです。
つまり、小根が乾燥する前に短時間で済ませる事と、株分けなどで時間を要する場合は水で湿らすなどして乾燥を防ぐことが大事です。
なお、このように鉢を抜き出す場所は、万が一ネコブセンチュウや病気が入っていた場合を想定して、植え付ける場所とは違う場所で行うようにします。ネコブや病気にかかっていた場合は、それらの幼虫や菌が用土にたくさん混ざっていますから、同じ場所で作業すると簡単に新しい用土内に持ち込んでしまいます。
問題がないことを確認してから清潔な植え付けエリアに持ち込むようにすると、ネコブなどの蔓延を抑える効果があります。
もちろん、触った手や道具類にも付着するため、触った後は他の清潔な用土や鉢に手を洗う前に触れないようにしなくてはいけませんよ。
ネコブセンチュウの対策は以前記事にしたことがありますが、薬を使わないようにするなら、このまままず48~50度の温湯につけて、線虫を駆除します。
根腐れなどの病気の場合は、シャワーの水をかけながら傷んだ部分を取り除き、トップジンやオーソサイドなどの薬液に5~10分ほど浸します。
もちろん、汚染した用土は直ちに袋などに詰めて処分が必要です。
さて、今回は株分けもしますので、シャワーで用土を綺麗に洗い流してやります。
さて、今回は株分けしますので、綺麗に用土を洗い流したところで根のつながりや様子をしっかりと観察します。ヤマシャクヤクの根塊は複雑になっており、割り口を決めるのは容易ではない場合も多々あります。
横に伸びる茎に太い根が付いた状態になるように割れば、その後の生育も順調になります。逆に、芽はあっても太い根無しでは作落ちしやすくなってしまいます。
また、割り口は芽からある程度の距離をとった方が腐りにくく、また割り口がなるべく小さくなるような場所を探る必要があり、ここが一番難しいポイントとなります。
ちょっと画像だけではわかりにくいかもしれませんが、刃を当てているところに芽と太い根をセットで割れそうなくびれがあります。
ここにゆっくり半分ほど刃を入れてこじるようにすると綺麗に割ることができます。
ちょっと一人でやってるので、切ってる最中の写真はないのですが・・・
切る部分に半分強ほど刃を入れて、こじって残りは割るようにします。
周りを傷つけないように、うまく割れましたね。
他の部分を切らないように刃を入れるのは意外に難しいのです。
さらにこの個体は割り口のすぐしたにも割りやすそうなくびれがありますので、もう一切り入れてみます。
芽と太い根がセットになるように割れましたね。
割れたらシャワーの水で洗って、切り口はペーパーなどで水分を拭き取ります。
一連の作業中も小根は乾かさないように気をつけています。
ちなみに、小根は乾燥させてしまうと死んでしまい、植え付けても真っ黒に腐ってしまいます。
黒く腐った小根は乾燥させたか、根腐れ病などの病気になったのどちらかです。小根だけ黒くなっている場合は、乾燥が原因のことが多いと私は考えています。
さて、割ったら切り口の処理をします。
切り口の処理は、トップジンMペーストを使います。やはり処理をしないと切り口は後から腐りやすくなります。ジャガイモみたいに草木灰を付けて半日とか乾燥させる手もありますが、それをやると小根は全滅です。
切り口に少量出して、
なるべく薄く塗り広げます。
この癒合材はある程度固まるまでには30分以上かかりますが、それを待っていてはやはり小根が乾燥してしまいます。
そこで、私はここに鹿沼のみじんを付けています。
切り口のみにそっとまぶすだけです。
三株に割って切り口の処理も終わりました。
この間もとにかく乾燥に神経を使い、切り口にかけないように水で小根のみを濡らしながら、鉢などを用意していきます。
ここからは株分けしなかった個体を植え付けるときと同じように作業を進めていきます。
まずは鉢底網をセットします。
この網は5㎜の目の粗いものを使っています。これ、探すと意外に売ってないんですよね・・・。別にごく普通のネットで構いません。
次に鉢底に鹿沼土の大粒をギリギリネットが見えなくなる程度に一層入れます。中粒でも構いません。
植え込み用の用土をうっすらと入れます。
元肥を入れる場合はここにぱらっと少量入れると良いと思います。
植え付ける株の位置を決めます。
軸などを持って株を安定させながら、用土をゆっくりをそっと少量ずつ入れていきます。ザーッと素早く入れてしまうと、小根の間に用土が入らず、小根が束になって固まってしまい、後々その部分の腐りの原因になってしまします。
あくまでゆっくりパラパラです。
少しだけ用土を入れたら鉢を細かく振動させて用土を小根の間になじませていきます。そうすると入れた用土の高さがぐっと低くなりますので、それを何度も繰り返して小根の間に用土を少しずつ入れ込んでいきます。
振動させて土をすき込みますが、根を傷めないようにするため棒などで突いたりはしません。
ここまで入れるともう株はぐらつきませんので、このタイミングで一度シャワーで洗い流します。
最後に用土を上まで入れたら、シャワーの水でしっかりとみじんが出なくなるまで洗い流します。事前にみじんを抜いていれば、あっという間に水は濁らなくなります。私がみじんを抜くようになったのは、この段階での作業時間を短縮できることも理由の一つです。
ラベルを立てるのを忘れずに・・・。
特に割ったときなどは、すぐにラベルを書いて立てておかないと、分からなくなってしまいますね。ラベルはとにかく大事です。ラベル管理がきちんとできていてこそ、その個体が間違いがないことの証とも言えます。
ラベルがなければ、落款やサインのない絵画と同じですね。その価値は半減してしまします。
肥料ですが、中に入れたい方は最後の土をかける前に中に埋め込んでも良いでしょうし、用土の上に並べてもどちらでも良いと思います。
また、ネコブセンチュウ用の薬を使う場合は、シャワーの水で流した後に用土の上にパラッと少量まいておけば、効果があります。
私は自宅の庭であまりセンチュウ用の薬は使いたくないので、あくまで温湯消毒を基本としています。それで十分駆逐できますし、実際今年もウチの鉢はネコブセンチュウはゼロでした。ちょっとブログの記事用に写真を撮りたかったのですが、ネコブ画像もナシになりました。
ちなみに、温湯消毒は正確に温度を測りながらする必要があり、48度なら20分、50度ならその半分の時間で処理できます。52度以上の温度に浸けると、傷害が出る恐れがありますので、限界は50度とお考えください。
なお、他の植物の植え替え説明などに、植え付け後は乾燥気味に管理するというような解説を見ることがありますが、ヤマシャクヤクに関して思うのはむしろ逆です。
私のように用土のみじんを洗い流して使う場合は用土が湿っていますのでそうでもないのですが、使う用土が乾いている場合は植え替え後は用土が水を吸いにくいため、しばらく非常に乾きやすくなっています。
思った以上に内部が乾燥しやすく、小根を傷める可能性がありますので、表面が乾いている場合にはすぐに水を与えることをお薦めします。
さて、参考になりましたでしょうか?ちょっと記事が長くなりすぎましたね・・・。(汗)
植え替えなどはこんなに長々と書くこともなかったのですが、丁寧に解説してみました。
使う用土や鉢によってもやり方は変わってくると思いますので、あくまで私のやり方と言うことで参考にしていただけたらと思います。
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