月末で忙しいのですが、ブログも頑張っています。(*^ー^)ノ
さて、今回は「原種」という表現についてです。
私が斑入りヤマシャクヤクを収集し始めてちょっと違和感を感じた言葉があり、それが「原種」という言葉でした。
私は若い頃に洋蘭を趣味としていた時期もあり、JOS(日本欄協会)に所属して活動したり、大きな蘭展などに出品したりもしていました。
洋蘭の中でも特に私は原種にこだわって栽培していました。
そう、洋蘭の世界で「原種」と言えば野生種を指す言葉であり、その対局となる言葉は人工的に作り出された品種を表す「交配種」ということになります。
ですので、斑入りヤマシャクヤクを始めた頃、「原種」と言われると初めは何のこと言ってるのかよく判りませんでした。
変だなぁ・・・と思っていましたが、それがこの世界の習わしだろうということで理解して、私もホームページなどで「原種」との表記を用いてきました。
しかし、先日斑入り植物のベテランの方から「原種」って言葉はちょっと変だよね・・・とのお話しを頂き、違和感を感じているのは自分だけじゃないことが判りました。
そこで、海外でも著名な植物学の先生に聞いてみました。
すると、やはり山で採集された選抜個体から株分けなどの無性生殖で増やしたものを「原種」と呼ぶのは日本語的におかしいとの回答でした。
確かに「種(しゅ)」とは英語で言えば「species」ですので、分類学的な観点で言えば種とは斑入りも青葉も全部含めたヤマシャクヤク Paeonia japonica を指す言葉だと思います。
ちなみに紅花ヤマシャクヤク Paeonia ovata も、人 Homo sapiens も種ですね。
良く判らないという方は「種 分類学」という言葉をセットで検索して、Wikipediaをご覧になって下さい。
先生にはいろいろたくさんお話し頂きましたが、要は山で発見された斑入りは「種」の中から選抜した「個体」であるという解釈が正しいとの理解に行き着きました。
そうした個体は世界的には「Original plant」と呼ばれているので、日本語ならば「起源個体」「起源植物」と呼ぶのが正しいかもしれないとの事でした。
「割り子」「割り株」「分け株」も良いと思います。
ただ、この表現ですと実生個体を株分けしても、同じような表記になるかと思うので、大元の山取個体を指すにはちょっと不向きではないでしょうか。
私は、そうした元になるものを表す日本語では、「原作」「原曲」「原本」などでも使われいます「原」という文字も悪くはないなぁと思います。
そこで、山で発見された斑入り個体に関し、実生ではない株分けで増殖したものを「原種」と呼ぶのではなく、「原個体」と呼ぶのが正しいのではないかという結論に至りました。
他にも「原木」も考えましたが、原木は木材分野で違う意味で使われていますし、「元株」など株という文字は結構細菌分野で使用されることが多いなど、いくつか検討したものの他で使われておらずしっくりくるのは「原個体」かなと思います。
ということで、これより私のホームページでは、「原種」ではなく「原個体」という表記を使っていこうと思っています。
ちなみに、椿の分野などでは「原個体」という名前を昔から選抜個体の意味で使っているようですし、なおさら良いのではないでしょうか?
この表記に関しては、もちろん皆さん馴染みもないでしょうし、賛否両論あろうと思います。
でも、なんとなくおかしいなぁと思いつつもそのまま使うのは、個人的には気持ちよくないので、これを機に新しい表現を使っていこうと思っています。
一つの提案として、ご理解頂けたら幸いです。
さて、次回はまたホームページ更新情報に戻る予定です。
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なるほど…株分けって、パット見 わたくし素人などは え?原種保ってるんじゃないのかな?って思ってしまいがちですが、そうですよね、、無性生殖であること自体 不自然なことですもんね~。。業界では当たり前のことなのでしょうが、「原種」と言う言葉には 何かしら強烈に引き付ける力がありますから、このように ちゃんと分ける、と言うことは とても価値がある!って思います。
ところで、バルトさんの蘭の「原種」の展示作品だなんて…ぜひぜひ見てみたかったですね~~~☆(*^.^*)
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>きょうみさん
こんにちは。
そうですね~、ヤマシャクヤクなど種を表す言葉は原種を使えば良いですが、斑入りなど選抜個体は原個体を使うべきでしょうね。
私の洋蘭は遙か昔の話で、もう見ることできません。
当時はカメラもデジカメではありませんでしたし、気軽に写真パシャパシャ撮ってませんしね・・・^^;