結構な雪の降った広島です。
北日本や豪雪地帯の皆さんから見れば序の口なんでしょうけど、雪に慣れていない広島人には寒い週末となりました。
今回の広島市内の積雪19㎝は、実に33年ぶりのレベルだったようです。
さて、先日の記事で斑入りの英語表記などについて、少しだけ触れてみました。
私自身、ずっと気になっていたテーマでもありましたが、斑の分け方をちょっと考えてみようと思います。
1.斑の分類にはどのようなものがあるのか?
参考にした本は・・・
広瀬嘉道先生・横井政人先生共著の「VARIEGATED PLANTS in COLOR 斑入植物集」という本です。
3巻セットが楽天でも販売されています。
3冊セット1万円にて購入できますが、ほぼ全部フルカラーで、収載されている写真の数も驚くほど多数です。
普通は安くても1冊1万円くらいしそうな本ですが、宣伝するわけじゃないんですけど、これはお買い得ですね。
1巻の最初の方に斑の分類についても少し書かれています。
写真ではちょっと見えにくいですが、これを元にヤマシャクヤクの斑入りを分類すると、
・掃け込み斑(掃込斑)
・散り斑(散斑)
・砂子斑
・覆輪
の4つに大別されそうですね・・・。
覆輪についてはなぜか少々細かく分類されています。
縞斑とかすじ斑というのはオモトなどの単子葉植物などに現れるはっきりとした縞模様のようなので、双子葉のヤマシャクヤクにはちょっと不向きなようにも思いますが、実際には使われることもあるようです。
この本の凄いところは、写真の数が膨大であることと、全ての記載事項が英語で書かれていることです。世界に目を向けて書かれたんでしょうね。
基本が英文で、そこに日本語訳が付いてる感じになっています。
ちなみに、先日の記事では散り斑はSplashと書きましたが、広瀬先生・横井先生の分類ですとMottleと言うみたいです。
斑の英語表記はあまり多くなかったのと同様、こちらも斑の分け方としてはさほど多くない感じですが、組織学的な見地なども勘案すると、行き着くとこうなるのかもしれません。
2.ヤマシャクヤクの斑はどう分けるべきなのか?
しかし、斑の分類の実際は難しいものも多くありますよね?
「これは掃け込みなのか散り斑なのか、どちらだろう?」のような斑も多く存在すると思います。
掲載されている写真を元に類推すると、私が「斑入りヤマシャクヤクの魅力」で使っていた斑の分類は、
・白三光斑その1のページ(祖谷の太陽など)、はけ込み斑→掃け込み斑
・白三光斑その2のページの一部、ゴマ斑、黄散り斑の一部→散り斑
・白散り斑、黄散り斑の一部、砂子斑→砂子斑
とするのが正しいかもしれませんね。
ヤマシャクヤクの柄として、三光斑やはけ込み斑を全て掃け込み斑にまとめたり、ゴマ斑も黄散り斑も同じ呼び名って言うのも、個人的には何だか少々寂しい感じもしてしまいます。
まあ、私の分け方は斑の種類と言うより見た目で分けちゃってますからね・・・。
そうです、まず色で分けちゃった所が問題かもしれません。(汗)
どうすりゃ良いのでしょうね・・・?
そこで例えば、ヤマシャクヤクに関しては、
・白三光斑→白掃け込み斑にまとめるか、例えば祖谷柄など新しい呼称
・白散り斑→白散り砂子斑
・ゴマ斑→ゴマ散り斑とか小島柄などの呼称
・黄散り斑→砂子を含むものと含まないもので区別して、萌黄散り斑と萌黄砂子斑
・元々の砂子斑、掃け込み斑、覆輪斑は変わらずそのまま
といった感じにするのもありでしょうかね??
柄の前に色を付けるのは一般的なルールでしょうから、もちろんそれに倣えば良いでしょう。
以前より疑問であった斑の分け方について、いろんな知人や詳しい方に聞いて教えてもらったり、本も買って読んでみたりもしましたが、結局のところ決まったルールは今ひとつ分かりません。
聞けば聞くほど諸説あり訳が分かりませんし、どなたの説にもそれなりの言い分がありそうです。
また、植物の種類によっても斑の発現やその頻度も様々で、実際に植物によってそれ独自の呼び方があるなど、完璧には一致しません。
私が使っていたヤマシャクヤクの斑の呼び名についても、特に白三光斑という呼び名に関しては本当に賛否両論様々です。
3.結果・・・
私には結論がはっきり出ませんし、私の考えであれこれ斑の呼び名を一方的に主張するのもどうかな?と思いますので、私のホームページにあるそれぞれの呼び名を変えることは、ちょっと今はやめておこうと思います。
賛否両論あろうと思いますが私のホームページの斑の呼び名については、そういうことで参考程度にお考えください。
基本的なところで言えば、やはり広瀬先生が提唱されていた分類に則せば間違いはないのだろうと思います。
ただ、ヤマシャクヤクだけにおいては、その種の斑入り特性をある程度織り込んだオリジナルな表現があっても悪くないとも思います。
そもそも明確なルールや登録システムがないわけですから、今のままでは誰が何と呼ぼうとも基本自由なわけで、そういう意味では残念ながらカオスなわけです。
つまり、決まりや基準などはっきりしたものがあれば一番良いのでしょうね。
決まりや基準となると誰でも理解することができるような簡単さも必要でしょうし、逆に難解なものや暗黙の了解みたいなものはちょっと不向きではないでしょうか。
ヨーロッパでは、園芸は
昔から王室の方々がする高貴な趣味として扱われており、そうしたルールや学術的な見地がきちんと整備されていて、日本も見習うべきだなぁと思っています。
命名についても、現状ではヤマシャクヤクの銘を登録管理する組織・団体がありませんので、異名同種や同名異種などあれこれ出てきてしまいます。
やはり、プロアマ問わず銘を登録する組織が必要ではないでしょうか?
無尽蔵の登録を避けるため、有料化や審査もあっても良いのかもしれません。
また、海外の例を見習うなら、銘はあくまで個体を区別するためのものと考え、個別の個体の評価は審査を行い、格付けなどをするのも良いかもしれません。
そういう活動のできる「斑入りヤマシャクヤク愛好会」みたいなのがあればいいのになぁと思いますけどね。
銘の登録や斑の分類など様々な決まりを形にすることができれば、トラブルも減るでしょうし、そういう会の活動がさらなる斑入り植物のファンを開拓し、全体として盛り上がるんじゃないかと思います。
広瀬先生は斑入り個体の命名について著書の中で触れられており、優秀な斑入り個体が自然界や実生で発見されたとき、完全な無銘で他所へ販売や譲渡をすると、後々混乱を生む原因となることから、他所へ拡散する前に命名することを強く推奨されておられます。
私もこの点には同感で、無用な混乱を避けるべく、発見者の元から最初の移動がなされる際には、発見者かもしくは最初の譲受人によって命名されるべきと思います。
無銘のまま複数広まった後に銘を入れようとするから、異名同種が出来るわけです。
そうしたことを当たり前にしてしまえば、学術的に見た時に海外のしっかりしたシステムを持つ園芸界から笑われてしまいます。
広瀬先生も著書の中で懸念されておられる点です。
海外の植物園芸界に多数を知人・友人をお持ちが故に、日本の園芸がいかに見られているか肌で感じてらっしゃるのかもしれません。
そういうのは日本人としてちょっと残念じゃありませんか?
私が祖谷の良個体に対し、何人もの採集者の方の所へ赴き、広まる前にきちんと命名をするべきであるとお話しして銘を付けて頂いているのは、そういうことです。
数が増えてからでは手遅れです。
この際に命名しようとする人が、使われている銘を簡便に検索できるシステムをいち早く整備することこそ重要ですよね。
でないと、銘ばかりが増えて、これまたカオスになってしまいます。
そうした問題を解決するため、斑入りヤマシャクヤクの楽しみを共有するプロ・アマ問わず参加可能な愛好会の早急な発足を期待しているのは私だけでしょうか?
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黄聖錦に代表される白三光斑は、初心者は派手柄を好むがベテランは派手柄を嫌うとベテランの方から聞きました。
しかし、こちらのブログで聖帝を見ると毎年柄は違っても毎年素晴らしいです。
派手柄の翌年は、地味になるとか小さくなるとかベテランの方に聞きましたが、バルトさんはどう思いますか?
私は、白三光斑が一番好きで毎年綺麗な柄を見たいので、そんな個体を探しています。
毎年綺麗な柄を見せるのは、聖帝など極限られた個体だけで、普通の白三光斑は継続は難しいのですか?
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>銀さん
これはこのご質問に返答するだけで1つ記事が書けそうな質問ですね~(笑)
>(黄聖錦に代表される白三光斑は、初心者は派手柄を好むがベテランは派手柄を嫌うとベテランの方から聞きました。
しかし、こちらのブログで聖帝を見ると毎年柄は違っても毎年素晴らしいです。
派手柄の翌年は、地味になるとか小さくなるとかベテランの方に聞きましたが、バルトさんはどう思いますか?)
はい、業者さんは極端な派手柄に手を出さないのは、そのように聞いたことがあります。
聖帝のように派手な白三光斑は、当然青葉の個体に比べて栽培容易な部類ではなく、なかなか大きくなってくれません。
派手すぎる年の翌年は、多少作落ちしたり地味になったりするかもしれませんが、実生をしたり無理な株分けをしない限り、飯田柄ほどの派手柄に比べると栽培ははるかに楽だと思います。
>(私は、白三光斑が一番好きで毎年綺麗な柄を見たいので、そんな個体を探しています。
毎年綺麗な柄を見せるのは、聖帝など極限られた個体だけで、普通の白三光斑は継続は難しいのですか?)
私も白三光斑が最も好きですね。
白三光斑の柄は基本安定していると思いますが、それでも実生をしたり株分けをすると作が落ちて、柄も地味になります。
実生1年生が青葉で出る白三光斑系統は、綺麗な柄を出すためには力が要るという性質があると、私は思っています。
だから、1年生では柄が出ません。
面白い事に、根伏せなどで芽を吹かせた株も、1年目には柄が全く出ないか、出ても非常に地味になることがほとんどで、まるで1年生苗を見ているかのようです。
つまり、毎年派手な白三光斑の素質ある個体であっても、毎年派手を維持できるよう栽培しなければ、その綺麗な姿を維持できないと言うことです。
結論的には、白三光斑の派手柄を維持するにはそれなりの栽培テクニックも必要で、2年に1回楽しむ位の気持ちで栽培するのがオススメです。なので、私は白三光斑に関しては何鉢あっても良いと思っています。
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なるほど、納得しました。
適切なアドバイスを頂き、ありがとうございます。
黄聖錦や聖帝、白寿は本当に素晴らしいと思います。
しかし、なかなか入手は困難な初心者に西祖谷の無名でも白三光斑なら少しは入手可能かな?と思いますが、無名でも良い個体を見つける事は可能でしょうか?
また、良い個体をオークションなどで見分けるポイントなどアドバイス頂けませんでしょうか?
よろしくお願い申し上げます。
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>銀さん
そうですね、白寿など白斑の良個体は魅力ありますね。
西祖谷産白三光斑もこれから少しずつ増えて、入手する機会もあると思います。山で採取された原種には、個体識別のために銘を入れていますが、今までに広まった実生個体で良斑のものや、新たに良個体が発見されれば無名個体の良斑も出てくるかもしれません。
ただ、現実として、白寿があった山にはもう白斑の良個体は何年も出ていませんし、他の山で見つかった話もほとんど耳にしていません。
取り尽くした感があるのは事実かも知れません。
採取された方も、「白寿の発見は今思えば奇跡だった」と。
ヤフオクなどで購入する際の注意点ですが、私も利用していますので、あれこれ物申すのは控えさせて頂きます。
唯一挙げるとしたら、山取品の出品の中に斑ではなくただの傷害個体を出品されているのをちょくちょく見かけます。
傷害個体は翌年真っ青になるだけですので、手を出してはいけませんね。
採取するベテランでも見分けが付かないどう見ても白斑のように見える「傷害」があるのも事実です。もちろん、翌年は真っ青です。
参考になりましたでしょうか?
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>バルトさん、こんばんは!
参考になりました。
黄聖錦は、小さいうちは斑が無くても三年生辺りから斑が出て大きくなるにつれて綺麗になっていく傾向にあるときいてますが、小さいうちに斑がある物は派手柄になり過ぎて大きくなり辛いと聞きます。
三、四年生の綺麗な個体は、かなり高価ですし、なかなか手が出せません!
では、派手柄が好きな初心者は小さいくても斑の入った個体を時間をかけて育てる方がいいのでしょうか?
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>銀さん
黄聖錦の系統は確かに経年と共に柄がしっかりしてきます。
おおかた、柄的には4年生で完成していると個人的には思います。
黄聖錦や西祖谷産白三光斑の1~2年生で派手柄など、見たことがありません。どんなに素質のある個体でも、せいぜい派手になって来るのは3年生からです。
1年生から派手な柄が入っている個体は、黄聖錦や西祖谷産白斑ではない可能性があり、そういう意味ではオススメしません。
ですので、5枚葉の2年生でわずかにでも斑が入ってる個体なら買いと言うことで良いのではないでしょうか。
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>バルトさん
ありがとうございますm(__)m
今後ともよろしくお願いしますm(__)m