実生で銘品を作り出すことは可能か? 第1話

梅雨模様の広島です。

ブログの更新も梅雨模様です・・・。
今年は赤星病の被害が多く、すっかり写真撮影も停止状態です。
てな事でネタが無い上にあれこれ多忙に流されて、更新が滞りがちになっています・・・。

更新してないのにブログを覗いて下さっている方、すみません。

さすがにこの天気では湿度も高く、鉢の用土も乾きませんね~。
この湿度が高い時期は病気の発生が最も多く、特に灰色カビ病も多発します。

自生地ではかなり灰色カビ病の発生が進み、すでに真っ白になっている個体も多いようです。

私は灰色カビ病やうどんこ病の類いを完全放置したことは無いので、それ自体が株を枯らすような病気かどうかは知りません。
ただ、山で一面に発生していることを考えると、山においては枯れる病気ではないようです。
しかしながら、棚では自然界に比べて難しい状況で栽培してるわけですから、放置するのは良くないでしょうね。

私は灰色カビ病が出たら、ゲッター水和剤を使っています。
しかし、昨年から使い続けているため、ぼちぼち耐性菌も出てくるかもしれません。

ベンレート、トップジンM、ゲッターの3種は同じ系統の薬剤のため、上記3種を使い続けますと耐性菌が発生してきます。
基本的には同じ系統の薬剤を使い続けるのは問題で、違う系統の薬剤をローテーションで使うのが理想的な使用法でしょう。

ですので、花卉類の適応がある薬剤を使用することを前提として、
予防・発生初期には「フルピカフロアブル」・「カリグリーン」を、
発生期には「ゲッター水和剤」・「ポリオキシンAL水和剤」・「セイビアーフロアブル20」をローテーションで散布すると耐性菌が出ず、効果も上がると思います。

その他にもカビやうどんこ病に良く効く薬剤もありますが、意外と花卉類に適応のある薬剤は多くはありません。
花卉類に適応ののない薬剤を使うことは、厳密に言えば法令違反ということになりますし、薬害などの試験も行われていないということです。
ですので、使用はお勧め致しませんが、どうしてもという方は自己責任で・・・。

いずれの薬剤を使う場合でも用法を厳守し、気温が高い時期を避けて行って下さい。
また、ヤマシャクヤクは薬害が出やすい植物だと感じています。
使ったことの無い薬は、一部の株でテストをしてから使用するべきだと思います。
薬害の出やすさは様々な散布条件の違いでも変化します。

お持ちの株が少しという方の場合は、ホームセンターなどで販売されている「ベニカXファインスプレー」なども良いと思います。
手軽で良く効きますよ。

さて、春に受粉したヤマシャクヤクは実も大きくなっていると思います。

いつ種を採って蒔くのかについては、昨年記事にした通りです。
気になる方はすぐ下のリンクをクリックしてみて下さい。
2014年07月29日の記事「ヤマシャクヤクの種」

ヤマシャクヤクの斑入りには実生で遺伝するもの・遺伝しないものも色々あります。
実生したときにどのような子供がどの程度得られるのかということも、様々です。

新しい斑入りヤマシャクヤクで現存する銘品を超える個体が現れるには、
・山で新たに発見採集される
・芽変わりで変化して、分離される
・実生苗から選抜する、または作り出す
の、いずれかになると思います。

その中で趣味家ができることといえば、基本は実生かなぁ・・・と思うわけです。

今回から何回かに分けて実生についての勝手なうんちくを書こうかと思います。
一応、このネタが終わるまでは毎日書いてみるつもりです。

ちょっと詳しい方から見ればたいしたネタでもありませんので、あしからず・・・。

1.実生でどの程度良個体が得られるのか?

実生すれば簡単に良い個体がポンポン得られるのか??
いえ、実生されている方はご存じかもしれませんが、そう簡単にザクザクと良個体が得られるわけではありません。

発芽率の問題もありますし、最終的に3年生の良苗となると思ったほどの数は得られません。

実生したときに子供に柄が出る確率も、親によって様々です。
100%出るものから全く出ないものまであります。

例えば、銘品の朝焼け。

本当に素晴らしい銘品ですが、実生すると子供に柄が出てくれません。
おおかた出る確率が5%位ですかね・・・。
しかも、総柄で出た子供はひ弱で極めて育ちにくいです。

うちでも結局数年実生して、柄が出た個体で残ったものは1つのみという結果です。
これでは実生する意味はありませんね。

逆に黄砂子総柄個体の黄金郷。

この個体は今のところ100%総柄の親とそっくりな子供が得られています。
安定して良苗が取れるという点も、素晴らしい利点ですね。

逆にある意味、親と同じ子供ができるのは、面白くも何ともないとも言えます。

実生苗はこんな感じですね。

100%出る個体・出ない個体以外は、真っ青から親を超えそうな柄の個体まで様々出てきます。

ではその中間の斑入りでどの程度の斑入り実生苗が取れるでしょうか?

例えば、
利休錦    90%
西祖谷産白三光斑   80%
佐渡錦   70~80%
黄はけ込み    50~80%
小島峠系統   50%
黄緑三光斑(萌黄系)  30~40%
白三光源平斑    10%

こんな感じですかね。アバウトですけど・・・。(汗)

更に、この中から枯れずに花を付ける個体は更に減ってきます。
そうそ
う実生をしたからと言って、たくさんの個体が得られるわけではないと思います。

もちろん、ベテランの方がやれば、もっと確率も生存率も高くなるかもしれませんね。

次回は実生すると親を超えるような個体が出るのかどうなのかの話です。

コメント

  • コメント (2)

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    • 2015年 6月 29日 9:10pm

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    さわやかな画面ですね。
    とりあえず 斑のきつい子が倒れた以外
    何とか今のところ 病気はないです。
    スプレータイプの 殺菌剤でなんとかカバーしてますが…。
    実生はしたいですが なんといっても花が咲かないことには…。
    来年 4年目を向かえる株がいくつかあるので
    咲いて欲しいなー。

  1. SECRET: 0
    PASS:
    >海さん
    病気がないとこが一番ですね~
    実生もやってみたい気持ちはよくわかりますが、初花では実生されないことをオススメします。
    実生は想像以上に体力を消耗する現象で、場合によっては驚くほど作を落としてしまいます。
    来年の開花が楽しみですね^^

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