鉢について

ヤマシャクヤクの鉢について、どの鉢が一番良いのか。

はっきり言えば、その答えは特にありません。

どの鉢を使用してもそれにあった管理をすればいずれもよくできます。

肝心なことは、それぞれの鉢の特性を理解することです。

 

私が使用している鉢について、感じた特性について紹介します。

 

 

☆雪割草鉢

 

通気性がよく、乾きやすいです。

縦長の形をしており、鉢底土を入れても植えやすい特徴があります。

私は個人的に縦長の鉢を好んで使用しています。

私が利点と考えているのは、乾きやすく鉢内の通気性を保ちやすいことです。水やり後に早く乾けば、その分鉢内に酸素が入っていきやすく、酸欠を起こしやすい鉢内をコントロールしやすいことが何よりの利点と考えています。

乾けば水やりの回数も増えるので、水やりによる鉢内の換気回数も増やすことができます。(水やり回数が増えることは欠点でもありますが・・・)

他にも縦長の形状は株分けをしたときに芽を鉢の中央に配置しやすいことと、同じ用土の量でも場所を取りにくい利点があります。

 

欠点は、高額であることと、重ねて保管が難しいことから収納する場合には逆に広い場所が必要になります。

それと、鉢の表面に緑藻が発生しやすく、見た目は悪くなりがちです。

 

 

☆丹波伝市鉢

 

雪割草の鉢に比べると、やや乾きにくいですが、プラ鉢などよりは乾きやすく水やりを頻回にしたくない方には向いていると言えます。

利点は、見た目の良さでしょう。通気性や乾きやすさは雪割草鉢に比べて劣りますが、その代わりに緑藻が表面に発生しにくく、見た目を損ないません。

形状も縦長のため植え込みしやすく、棚を圧迫しません。

 

欠点は高額であることです。販売数も少ないため、棚の鉢を統一するには一苦労することになります。

 

☆砂入りエビネ鉢

雪割草鉢と同じような素材でできており、特徴もよく似ています。

雪割草鉢は5号までしかありません。なので、6号以上の植え込みの主力はこれになります。

利点欠点は共に雪割草鉢に準じます。

 

 

☆硬質ポリポット・プラ鉢、・スリット鉢

 

苗は硬質ポリポットのロングを使っています。
これも、本当は大きな鉢に蒔くのが理想的なのだと思いますが、選別したり譲ったりするにはどうしても小分けの必要があるためです。
乾きにくいため、水やりは控えめです。

利点としては、安価で軽く壊れないため、輸送に向いています。また保管も重ねてしやすいため、場所も取りません。

欠点は乾きにくく鉢内が酸欠になりやすいことです。

スリット鉢はそのスリットによって酸欠を回避できる特性があり、このため栽培しやすいのが売りでしょう。サークリング現象がどうのこうのという人もおられますが、それが当てはまるのは3号以下の小さなポットの場合であって、5号以上の大きな鉢には当てはまらないような気がします。

プラ鉢の場合は灌水過多には気を付けなければなりません。植物の体調が良ければそれでも良く育つでしょうけど、調子を崩し始めると一気に根腐れを起こす可能性もあります。

 

 

 

私が使っている鉢についていくつか紹介しました。

結局、雪割草鉢でもプラ鉢でも大切なことはその鉢に合った管理ができるかどうか?という事でしょう。適合した水やりができれば、結果何を使用してもよく育ちます。

すべての鉢に共通して言えるのですが、私はなるべく鉢を絞って植えています。植え替えの時にはかなりきついというかギチギチに植えている感じかもしれません。
乾きやすさ重視ということと、置き場所が狭いということも理由です。前述の株分けした際に芽が端へ寄らないようにする目的もあります。

土が細かいこともあってか、私のヤマシャクヤクは秋には細根がビッシリと張り、逆さまにしても叩かないと抜けないほどになっています。

こうなると、次の植え替えも土が細かくないと根の間に土が入らないからです。細かい土は乾きにくいため、細かい用土を使うために乾きやすい雪割草鉢を使うわけです。
まあ、細根びっしりが理想的な育て方かは賛否両論あると思います。

 

私が雪割草鉢を利用している他の理由は、良く乾くため毎日でも水やりをする事も理由の1つです。

ヤマシャクヤクが自生している山中は、非常に苔むしています。かといって湿地帯のような状態ではなく、晴れた昼間は乾いた状態になっています。

つまり、夜露で毎晩湿った状態になり昼間は乾く事を繰り返しているということですから、私もそれに合わせた管理を目指したというわけです。

 

プラ鉢を使うなら水やりを上手に控えれば良いことです。用土が細かければ、さらに控え気味にすると良いでしょう。

要は、鉢と植え込んだ用土の特性に合わせた水やりができるかどうか、これが栽培のポイントと言えるでしょう。